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2008/09/29 【「仕事がうまくいかない」と捉える背景】

先日届いた、産業精神保健の第16巻、第三号に興味深い原著論文が
掲載されていました。
『新入社員が「仕事がうまくいかない」と捉える背景には何が作用
しているか』
という題で、竹崎由恵、三木明子、服部陽児の先生方の論文です。
以下、要旨を抜粋させていただきます。...

『情報システム開発に携わる新入社員77名について、彼らが「仕事
がうまくいかない」と捉える背景にはどのような職場要因の作用が
あるのか、その作用要因が年次を経るにつれてどのように変化する
のかを調査し、現場における適応支援について考察した。職場負荷
要因の因子分析の結果、「上司に対する不満」「量的・質的負担」
「配属先への不適合」「人間関係の悩み」の4因子が得られた。仕
事状況の捉え方を従属変数とした重回帰分析の結果からは、1.年次
に関わらず量的・質的負担は恒常的に作用すること、それに加えて
2.入社3年目までは入社時の抑うつ度や性別などの個人要因が、3.4
年目以降は上司への不満を含めた人間関係の悩みが、「仕事がうま
くいかない」という捉え方に作用することが明らかになった。した
がって、入社3年目までは個人要因と職場要因の両方に、4年目以降
では人間関係や残業時間に配慮した適応支援の重要性が示唆された』

とのことです。


経年変化で、このような研究結果が報告されたのは、珍しいのでは

ないでしょうか。サンプルに偏りがあるとしても、非常に貴重なも

のであると思います。


私自身、メンタルヘルス関連のお仕事をさせていただいていて、「

早期離職」の問題は多く相談をいただきます。特に入社3年目までに

辞めっていってしまう人たちに対して、有効な対策はないか、と。

今では、入社時にある程度のストレスに対する耐性を測定できる指標

やチェックが出てきています。入口で、なんとか選別したいというこ

とでしょうが全てが判るわけではありませんし、ある程度恣意的に回

答することも可能です。


「仕事がうまくいかない」という感覚は、転職や辞職につながる要因

でもあると考えられますので、「早期離職」の問題を考える時にも、

支援の際のヒントになると考えています。


私個人としては、入社時の研修や、定期的な面談の実施など、個別的

な対応が効果があると思っていましたが、今回の論文はこの感覚に近

いのかなぁ、とうれしく思っています。


まぁ、よく考えれば皆さんも感じていらっしゃることだと思います。

入社してすぐにやめていくような人は、「個人の問題」が比重が大き

く、ある程度仕事ができるようになってからのは「上司や仕事量・質

といった環境の問題」の比重が大きい、ということでしょうか。


適応支援と言う面で見れば、上述の論文からは、

『入社3年未満の社員に対しては、同僚やチームの人間関係よりも、ま
ずは、キャリア・デザインや葛藤処理の具体的モデルとなる上司・先輩
の存在や彼らからの情緒的支援、保健スタッフらによる個別のケアが重
要であると考えられる』

『4年目以降の社員に対しては、業務内容や業務量への配慮に加え、上司
との関係性を含むチーム内の人間関係に注目する必要がある。また、繁
忙期の残業時間が実質的に増えているにもかかわらず、仕事状況の捉え
方への作用要因として実感されなくなっていることから、かえって、残
業の増加による蓄積疲労や燃え尽き症候群などへの発生に注意する必要
性が考えられる』

としています。

具体的な職場適応への支援について、貴重な示唆が含まれていると感じ

る論文でした。

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上司 , 不満 , 人間関係 , 新入社員 , 早期離職 , 残業時間 , 職場要因 , 負担
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