前回に続いて、今回はEAPサービスについて、実際に提供されてい
るものの概要をお話できればと思います。
あらかじめお断りしておきますが、ここで言うEAPサービスとは、
企業の生産性や効率を向上させるための包括的な従業員支援サービ
スではなく、日本で言うEAPサービス、すなわち電話・対面・Webな
どを用いた心理相談サービスのことです。...
■EAPサービス
・対面相談
臨床心理士や産業カウンセラーなどによる対面でのカウンセリン
グを受けることができる。プロバイダーによって若干異なるが、大
抵は、年間5回程度従業員とその家族が利用可能。問題解決までに
長い時間がかかる精神分析などではなく、短期間に問題解決を目指
す、認知療法や認知行動療法が主な技法として用いられる。
利用場所は、プロバイダーが個別に契約した全国のカウンセリング
ルームや直営ルーム。5回以上の利用については、個人負担となる
場合が多いが、その場合1回1万円から1万5千円ぐらいかかるのが一
般的。企業との年間契約が主であるが、健康保険組合や労働組合が
加入しているケースもあり。
プロバイダーによっては、ネットワークしている心理士のレベルに
差があり、全国展開しているようなサービスであっても、契約して
いるカウンセラーの質を吟味する必要性がある。
カウンセリング内容については、会社側には一切公開されないのが
通常であるが、主訴別や性別の相談件数などがデータとして提供さ
れることはある。
近年は、出版系のプロバイダーや損害保険会社の参入などにより、
低価格が進んでおり、利用回数に制限のない年間契約のほかに、利
用実績に応じた清算を行うサービスも見られる。
社内での広報活動によるが、現時点では実際の利用件数はそれほど
多くなく、利用率の向上が課題のひとつ。
「ソフトウェア産業」「学校の先生」「派遣会社」といった仕事の
ストレスが高いとされる業種については、利用率が他の業種に比べ
て高いとされる。
・電話相談
電話による心理相談。基本的には対面相談につなげるという役割
を持つが、「話す」ことによって問題が整理され、カタルシス効果
も相まって電話相談だけを利用するケースもある。
通常は、契約企業ごとに決められたフリーダイヤルが用意されてお
り、契約時間内であれば従業員とその家族は無制限に利用できるケ
ースが多い。しかし、プロバイダー側でも、電話が長引くことに警
戒し、内規としておおよその相談時間の目安を設けているところも
ある。相談内容は、対面と同じく仕事のことに限らず家庭のことに
ついても受け付けている場合が多い。
企業側への報告についても、対面と同じくカウンセリング内容につ
いては、会社側には一切公開されないが、主訴別や性別の相談件数
などがデータとして提供されることはある。
プロバイダー側からしてみれば、専用の回線と最小限の電話相談員
を準備しておけばサービスを提供できるという利点がある。
利用率は対面相談に比べれば高いが、絶対数としてはまだまだ少な
い。
・Web相談
インターネットを利用した相談。電話相談と同じく基本的には対
面相談につなげるという役割を持つ。いつでもどこでも相談できる
ということを売りにしている。匿名性とセキュリティを確保したシ
ステムのなかで、従業員(とその家族)が利用できる。文字数の制
限や返信回数に制限のあるサービスもある。実情としては、恋愛や
仕事に関する比較的軽い相談よりも、中高年管理者などからの、切
羽詰まった相談が多い。誰にも相談できず、ぎりぎりになってWebか
ら相談してくるケースもあるのかもしれない。
企業側への報告についても、対面と同じくカウンセリング内容につ
いては、会社側には一切公開されないが、主訴別や性別の相談件数
などがデータとして提供されることはある。
システム一度構築してしまえば、ネットワークにある資源(カウン
セラー)を用いて回答が可能であり、プロバイダー側としてはそれ
ほどメンテナンスがかからない。
プロバイダー側は、上記のサービスを組み合わせたり、個別に販売
しているのが実情。いわゆるメンタルヘルス対策の中核を占めるサ
ービスであるが、利用率の向上や費用対効果の測定、また、次なる
メンタルヘルス対策へのフィードバックなど課題も多い。身体の健
康相談サービスや各種保険などとパッケージとなって販売されるケ
ースが目立ってきている。
次回は、その他のメンタルヘルス対策について書いてみたいと思い
ます。
関連するページ
このページのキーワード。関連情報をチェックできます。
Web相談
,
カウンセリング
,
臨床心理士
,
認知行動療法
,
電話相談
このページの先頭へ
トップページへ








