2008/04/25 【リスクマネジメントとしてのメンタルヘルス対策】 | プライベート・ナビ - うつ病・休職・復職支援サービスなど法人向けのメンタルヘルスサービス。

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2008/04/25 【リスクマネジメントとしてのメンタルヘルス対策】

企業にとって、また、管理監督者にとって、そもそもなぜメンタル
ヘルス対策が必要とされてきているのでしょうか。...

三菱重工業の北村尚人先生は、次の3つの要因を挙げていらっしゃ
います。
1.精神疾患や自殺者数の増加
2.労災認定基準の緩和
3.司法判断の変化

1.「精神疾患や自殺者数の増加」
皆さんご存じのとおり、この国では年間の自殺者数が9年連続で3
万人を超えています。10万人当りの自殺者数を年代別に見た場合
50代から60代の管理職世代の人たちの値が70人前後と際立って高く
なっています。交通戦争とよく言いますが、交通事故によって不幸
にも死亡するこの年代の方は、4,5人とのことですから、単純計算
では交通事故に比べて10倍以上の方が自殺という手段でなくなって
いるということです。

また、近年では30代のうつ病や休職者数が特に増加してきています。
これは実際の支援の現場からも実感として感じています。精神的な
病気の診断基準が整備されてきたこと、病気の知識が一般にも広まっ
たことなどが増加の要因の一つと考えられますが、やはり、職場内
での環境が近年大きく変わってきているのが強く影響しているので
はないでしょうか。

私自身30代男性会社員ですが、人員の整理による仕事量の増加、責
任は大きくなる一方だけれども、権限や裁量は大きくならないこと
また、「成果主義」という大義のもと、教育や研修によって社員を
育てることよりも、能力のある人材が流動的に職場を行き来するこ
と、など大企業だけでなく、中小企業にもこのような変化の波が押
し寄せて来ていると感じています。

結果、業務起因性のメンタルヘルス不全者や、自殺者が増加してき
ているのだと思います。

2.「労災認定基準の緩和」
平成11年9月に当時の労働省は、自殺を含む精神疾患者数の増加など
を背景として、労災認定基準を緩和しました。主な変更点は、
 ・精神疾患であれば全てを認め得ることとした
 ・ストレス強度を判定する基準を設けた
 ・業務以外のストレス強度の判定基準と、本人の脆弱性の判定基準
  を設けた
ことです。

以前は、仕事の大変さや苦労や悩みを綴った「遺書」を残して自殺し
た場合、労災とは認められませんでした。自殺で労災と認められるの
は、精神疾患のため心神喪失の状態でないといけないからです。「遺
書」が書けるのだから、心神喪失ではないという理屈です。
しかし、この新しい基準によって遺書があったとしても、うつ病など
の精神疾患を有していたと実証できれば、労災と認められるようにな
ったのです。

3.「司法判断の変化」
いわゆる「電通事件」をきっかけに、企業には、より厳格な健康配慮
義務(安全配慮義務)が求められるようになりました。
上司の対応いかんによっては、会社だけでなく、上司個人も損害賠償
請求の対象になるのです。現に、「三洋電機サービス事件」では、上
司個人に会社と連帯して、約1,300万円の賠償が命じられています。

具体的には、損害賠償請求の場合、企業側に「健康配慮義務」に対す
る違反があったかどうかが争われます。言葉を変えれば、企業側に落
ち度があったのかということであり、法律的には「過失」があったか
どうかということになります。労災認定では企業側の「過失」は問わ
れませんが、損害賠償請求においては「過失」が立証されることが要
件となるのです。

「過失」を詳しく見てみると「予見可能性を前提とした結果回避義務
違反」とされています。「予見可能性」とはつまり「結果の発生を予
測できたか否か」ということで、「結果回避義務」とは「結果の発生
を予見した場合に、これを回避するために取るべき措置のこと」であ
ると考えられます。例えば、「ある従業員がストレスの蓄積によって
うつ病に罹患し、その結果自殺してしまった」という結果において、
企業側は当該従業員の様子から「うつ症状から自殺する可能性を予測」
できたか、また「結果の発生を予見したのであれば、配置換えや勤務
時間の短縮もしくは休職といった結果回避義務」をはたしたかが損害
賠償請求においてはポイントになります。

これらの背景が、「リスクマネジメント」としてのメンタルヘルス対
策の重要性を大きくしているのです。

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