前回の続きを書いてみました。メンタルヘルス入門「その2」です。
【必要なメンタルヘルス対策とは?】
「もりかわさん、いったい何から始めればいいの?」
メンタルヘルス対策のご相談をうかがいにいくと、このような質問
から始められるお客様が多くいらっしゃいます。...
すでにご存じのことと思いますが、平成12年には当時の労働省か
ら、「心の健康づくり指針」(正式には「事業場における労働者の
心の健康づくりのための指針」)が出され、労働者の心の健康の保
持増進を図るため、事業者が行うことが望ましい基本的措置が示さ
れました。
平成18年には、「労働者の心の健康の保持増進のための指針」と
して改訂されたこの指針によれば、まず「心の健康づくり計画」を
策定し、その計画に基づき4つのケアを推進することになっていま
す。1つ目は、「セルフケア」であり、労働者が自らのストレスに
気づいて適切に対処することです。2つ目は管理監督者が行う「ラ
インによるケア」であり、職場環境等の改善と、労働者からの相談
への適切な対応ということになっています。3つ目は健康管理部門
や人事労務部門が行う「産業保健スタッフ等によるケア」であり、
職場環境の改善や労働者に対する相談等です。4つ目は社外の専門
機関によるケアであり、会社は必要に応じて社外のメンタルへルス
専門機関等を有効に活用するよう求めています。
大企業であれば、いざしらず、中小企業事業者にとって、費用対効
果のわかりにくい施策について、出せるお金は限られますので、上
記すべてを同時に行うことは土台無理なお話しかもしれません。こ
んな時には私はこのようにおうかがいします。
「会社(社長)が、今一番困っていることは何ですか?」
「実は、うつ病で調子が悪かったり求職中の職員が2人ほどいてね。
繰り返し休んじゃって、復職も上手くいっていないんだ。」このよ
うな回答は珍しくありません。
うつ病の有病率は1年間で5%から10%と言われています。10
0人の従業員がいれば、会社で特別な負荷を与えなくても、1年間
に5人から10人の人がうつ病になってもおかしくないのです。
よくメンタルヘルス対策は、「一次予防(不全に陥らないために、
すべての従業員に対して行う対策)」から始めましょう。という声
を聞きますが、私は「一番困っていること」から始めるのが定石だ
と思います。この場合であれば、休職者などのメンタルヘルス不全
者に対するケア、すなわち「三次予防」から入るべきだと思います。
具体的には、休職者へのカウンセリングを含めた個別的な支援と、
人事労務担当者に対する復職までの道筋(業務の流れ整理、就業規
則の整備など)を整備する支援などをまず実施します。この「三次
予防」が一段落したところで、「一次予防」「二次予防(メンタル
ヘルス不全に陥りそうな従業員に対する支援)」に重点を移してい
きます。
メンタルヘルス対策を実施していくと、必ず組織自身が持つ問題点
が浮き上がってきます。過重労働の問題、職場環境の問題、社風の
問題。これらは、「一次予防」や「二次予防」に大きくかかわって
くる問題だと感じています。まずは、今手元で困っていることに対
応し、根本的な問題についてはじっくりと年をまたいで対応してい
く。このような姿勢がメンタルヘルス対策実施にあたっては、あっ
てよいのではないでしょうか。
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